映画「パラサイト 半地下の家族」は気持ち悪い?散りばめられた伏線を考察(ネタバレあり)

映画
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2019年に公開された韓国映画

「パラサイト 半地下の家族」

邦画ばかり観ている私ですが、今回は韓国映画を鑑賞。

伏線が多く、見ていてとても見応えのある作品でした!

確かに終盤は気持ち悪いという意見が出ているのもわかります。

うわぁ…という展開でしたが、ブラックコメディーからのスリラーになる展開には本当に驚かされました。

ネタバレを見ずに視聴することをおすすめします。

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「パラサイト 半地下の家族」あらすじ

過去に度々事業に失敗、計画性も仕事もないが楽天的な父キム・ギテク。そんな甲斐性なしの夫に強くあたる母チュンスク。大学受験に落ち続け、若さも能力も持て余している息子ギウ。美大を目指すが上手くいかず、予備校に通うお金もない娘ギジョン… しがない内職で日々を繋ぐ彼らは、“ 半地下住宅”で 暮らす貧しい4人家族だ。

“半地下”の家は、暮らしにくい。窓を開ければ、路上で散布される消毒剤が入ってくる。電波が悪い。Wi-Fiも弱い。水圧が低いからトイレが家の一番高い位置に鎮座している。家族全員、ただただ“普通の暮らし”がしたい。

「僕の代わりに家庭教師をしないか?」受験経験は豊富だが学歴のないギウは、ある時、エリート大学生の友人から留学中の代打を頼まれる。“受験のプロ”のギウが向かった先は、IT企業の社長パク・ドンイク一家が暮らす高台の大豪邸だった——。

パク一家の心を掴んだギウは、続いて妹のギジョンを家庭教師として紹介する。更に、妹のギジョンはある仕掛けをしていき…“半地下住宅”で暮らすキム一家と、“ 高台の豪邸”で暮らすパク一家。この相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく——。

引用:「パラサイト 半地下の家族」公式サイト

「パラサイト 半地下の家族」予告編

「パラサイト 半地下の家族」感想・考察(注:ネタバレあり)

本編を見るまでは、ネタバレ記事を読まないことをおすすめします!

ネタバレしないで見た方が何倍も楽しめる作品です。

それではこの映画の魅力を語ってみようと思います。

コメディからのスリラー

この映画の魅力のひとつは、一度も退屈することなく見れること。

前半はコメディタッチで進んでいくのでだいぶ気楽に見ていました。

どんな展開になるかも、どんな話なのかもわからずに見始めたので、本当に油断していました。

その状態からの突然のパニックです。

雨の日、元家政婦の訪問から始まる急展開

口があんぐり空いてしまったし、目を背けたくなる展開にもなりました。

まさに油断からのジェットコースター。

こんな展開読めませんでした。

全部知った上でもう一度見たい。見よう。

気持ち悪いという感想も見かけましたが、それ以上に伏線や怒濤の展開がスゴイ。

格差社会のタテの線

この映画の主軸とも言える韓国の格差社会問題

この格差の階級がタテの線でしっかりと表されています。

一番頂上にいるのがお金持ちのパク一家。

高級住宅街の高台に住んでいます。

そしてキム一家が住むのは半地下

少し地上に出た窓から日差しが見えていますが、半分は地下に埋まっています。

少しだけ地上に出た窓からの日差しで、靴下を干していたのが印象的です。

そして最下層であるムングァンの夫グンセ。

完全に地下である「完地下」に住んでいます。

この3家庭が住んでいる場所は、明らかに階層で上からタテに並ぶ構図です。

凄く印象的だったシーンがあります。

大雨の日。

パク家からギテクたちが自宅に逃げ帰る時、長い階段を降りていくシーン。

どこまで下るんだというぐらい、どんどん階段を下って自宅に帰るのです。

パク一家で上流気分で過ごしていたキム一家が、急降下する様子が強調されていて印象的でした。

数々の伏線

この作品には数々の伏線が散りばめられています。

伏線を探しながら見るのもまた楽しい。

①山水景石

ギウの友人ミニョクがくれた山水景石。

この山水景石は「家庭に財運合格運をもたらしてくれる」とミニョクは言いました。

ギウは「象徴的な石だ…!」と魅了され、ギテクも「俺たちにぴったりの石だ」と言います。

初めは家庭教師に合格したり、家族が職を得たりと、財運と合格運があがったように感じられました。

まさにキム家の希望の象徴

それによってギウは石の力を信じてしまったのかもしれません。

家が水浸しになっても、ギウは山水景石だけは手放しませんでした。

これは、希望は捨てない、という意思の表れだったと考えられます。

詐欺行為までして得た希望は、やはり儚いものでした。

最後にはその石で殴られて瀕死の状態になってしまうという、不幸な結果になります。

結局もとよりも悪い状態になってしまったキム一家。

最後に山水景石を川に戻し、希望を捨てたという形で皮肉にも終わってしまうのです。

②インディアン

パク家のダソンはインディアンにハマっていました。

インディアンはアメリカの先住民で、白人によって侵略され大陸を追い出されたと言われています。

これは、パク家がキム家やムングァン夫婦に寄生され、ついには追い出されてしまうという暗示です。

ダソンの登場シーンでは、ギウに向かって矢を投げたり、家政婦のムングァンに攻撃したりしています。

これは寄生・侵入してきた人間たちを攻撃しているという表現なのかもしれません。

そして、大雨の日にキム一家とムングァン夫婦が潜んでいる時は、ダソンは庭にテントを張って寝始めます。

これは、家にいる寄生してきた人間たちからインディアンが逃げている構図とも言えるでしょう。

③階層で仕切る意図的な線

パク一家、キム一家、ムングァン夫婦を画面上に映し出すとき、意図的な線が入れられています。

たとえば、初めてギウがパク家を訪れた時。

家政婦ムングァンが奥様ヨンギョを呼びに行ったシーンです。

明らかにムングァンとヨンギョの間に、窓の線が引かれています。

それからその直後、ギウがヨンギョと話しているシーンでも、ギウとヨンギョの間には冷蔵庫の取っ手線がしっかりと入っているのです。

階段の横の柱が、キム家とパク家を仕切る線として使われているシーンもありました。

そしてパク家の主人ドンイクは、しきりに「一線」という言葉を使います。

「一線を超えないのがいい。」

「臭いが一線を越えている。」

などなど。

「線」がキーワードとなっていることがわかります。

最終的に、この「一線」をドンイクがあからさまに表したために、大きな悲劇を生むのです。

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④ダソンの絵

ダソンは常人では理解できないような、見ようによっては天才かと思うような絵を描いていました。

目がぐりっとした、肌が茶色い人物の絵。

母のヨンギョは天才だと思い込んでいますが、これは地下に住むグンセの似顔絵だったのです。

ダソンは、誕生日の日に偶然見てしまったトラウマであるグンセの絵を描いていたのです。

よく見ると確かにグンセにそっくりです。

そしてギジョンの前で描いてみせた絵もグンセでした。

その絵には、晴れた空と、後ろにテントが描かれ、グンセの手には刃物がありました。

これは後に起こるダソンの誕生日パーティーの悲劇を暗示しているのです。

⑤2人分食べる家政婦

元家政婦ムングァンが辞めさせられてしまった後。

ドンイクがギテクに家政婦のことを話しているシーンがあります。

「節度もあっていい家政婦だった」と語る一方で

「短所は2人分食べること」だと言いました。

ドンイクは、それぐらいたくさん仕事をしていたからだとも語っていました。

しかしこれは、地下にいる夫のグンセに食べ物を与えていたからなのです。

グンセがパク家の地下にいるという伏線です。

⑥大雨による洪水

大雨の日、半地下のギテクの家が水没してしまいました。

体育館のような避難所に逃げ出し、散々な夜になります。

一方パク家は、高台のため何の被害も受けませんでした。

「PM2.5はゼロの青空。昨日の大雨のおかげ。」

とヨンギョは言い放ち、むしろ雨で空の汚れが落ちたことを喜んでいたのです。

これを聞いていたギテクの表情はとても不快そうでした。

パク家と自分の境遇をあからさまに突きつけられた気分だったのでしょう。

空の汚れは全て下方へ流れ落ち半地下の家を呑みこんでしまうという、あからさまな格差を表現していると言えるシーンです。

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「パラサイト 半地下の家族」作品概要

第72回カンヌ国際映画祭では、韓国映画初のパルムドール賞を受賞。

第92回アカデミー賞では、作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞を受賞しました。

キャスト

キム・ギテクソン・ガンホ
キム・ギウチェ・ウシク
キム・ギジョンパク・ソダム
キム・チュンスクチャン・ヘジン
パク・ドンイクイ・ソンギュン
パク・ヨンギョチョ・ヨジョン
ムングァンイ・ジョンウン
グンセパク・ミョンフン
ミニョクパク・ソジュン

スタッフ

監督・脚本ポン・ジュノ

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