映画「真夏の方程式」はひどい?恭平のその後も考察(ネタバレあり)

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2013年に公開された「ガリレオ」シリーズ劇場版第二弾

「真夏の方程式」

劇場版第一弾「容疑者xの献身」から5年ぶりの作品。

こちらの作品は、成実がひどい、節子がひどい、など登場人物に対して否定的な意見が目立ちました。

恭平のその後もどうなったのか気になるという感想も多く見られます。

そこで、登場人物について、そして恭平のその後などを考察してみました。

「真夏の方程式」あらすじ

湯川(福山雅治)は海底鉱物資源の開発計画説明会に招かれていた。

そこは手つかずの美しい海が残る瑠璃ヶ浦だ。

湯川が滞在していたのは旅館「緑岩荘」。

緑岩荘には、環境問題に熱心な川畑成実(杏)とその両親(前田吟・風吹ジュン)、そして夏休みに遊びに来ていた成実のいとこ小学4年生の恭平(山崎光)がいた。

その緑岩荘で事件は起こる。

湯川と同じく緑岩荘に泊まっていたもう1人の宿泊客、塚原(塩見三省)が変死体で見つかったのだ。

塚原はなぜこの街に来たのか、なぜ殺されなければならなかったのか。

川畑家がそれぞれ隠していた大きな秘密とは…

事件の真相が明らかになるとき、湯川は哀しい真実に気づいてしまうーーー

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「真夏の方程式」考察・感想(注:ネタバレあり)

前作「容疑者xの献身」と比較して、評価が低めだったこの作品。

トリックが薄い、登場人物がひどくて感情移入できないなどの意見が目立ちました。

トリックが薄いことは、元からトリックというより私はヒューマン要素を期待して見ているのでそんなに気になりませんでした。

登場人物にひどい人が多い。

これに関して考察したいと思います。

そして、気になる恭平くんのその後も。

成実がひどすぎる

まず、成実がひどいという意見が多く見られました。

うん、確かにひどい。

というのも、中学生で伸子を殺害した成実。

家族をゆすりに来た伸子を追いかけて、突然包丁で刺します。

その日初対面だったにもかかわらず、です。

常日頃からゆすられていて、家族がひどく苦しい思いをしていたのなら百歩ゆずってわかるとしても。

「この女、家族をゆすってきた」と思った途端に刺しに行くって怖いですよね。

ちょっと成実の狂気性を感じてしまいます。

そして、殺人を犯したにも関わらず、29歳まで普通に生活できているのも不思議に思いました。

きっと心に闇は持っていたんでしょうけど、それがあまり感じられませんでした。

その辺も世間では違和感を感じてしまったのかもしれません。

確かに伸子は悪いです。

でも、それで殺していい理由にはならない。

成実に同情しにくいという点で、観客は感情移入しにくかったのかもしれません。

節子がひどすぎる

節子もひどいんですよね。

成実のお母さん。

まずは、仙波の子供をみごもっていることを重治に隠して結婚したこと。

これはけっこうな罪だと思います。

そもそも仙波は既婚者なので、不倫をしていたという事実があって。

かつ、その子供を重治の子だと偽って結婚。

すでにここで、仙波の妻と重治を大きく傷つける行為をしています。

いくら罪悪感を抱えていたとしても、やっちゃってるものはやっちゃってます。

でも私、「ん?よくよく考えたら節子ってかなりひどくないか…?」と映画を観た後気づいたほどで。

節子演じる風吹ジュンさんがとてもいいお母さんの雰囲気なので、私に中でどこかその悪さが薄れてしまっていたのかもしれないです。

この物語の不幸の始まりはすべて節子なんですよね。

重治がひどすぎる

私は何より誰より一番ひどいのは重治だと思っています。

成実も節子もひどいです。

でも、湯川が言っていた「ある人物の人生をねじ曲げ」てしまったことが本当にひどい罪だと感じます。

(前提として、何の罪もない人を殺しているところが本当にひどいですが。)

ある人物とは、小学4年生の恭平です。

何も知らない恭平に、殺人の加担をさせてしまうのです。

重治は恭平に、湿った段ボールを煙突の上に置くよう指示します。

そしてそれが原因となって、塚原は一酸化炭素中毒で亡くなるのです。

まだよくわかっていない恭平は、大きくなるにつれて自分がしたことを理解していきます。

自分がしたことで、人が亡くなったことに気づくのです。

重治はなんて大きなものを恭平に背負わせたのか。

ただ成実の罪を隠すために、なにもわからない子供を殺人に巻き込んだのです。

恭平に優しく接する重治が、とても怖く感じました。

大人の身勝手で、何もわからない子供の人生を巻き込んだ重治のひどさは一番重いと思います。

恭平に伝えたいことはないかと湯川に聞かれた重治は「ごめんなと」と言います。

「ごめんな」だけでは済まされないよなぁとイラ立ちすら感じてしまいました。

本当に罪を犯した娘を守るべく、他の子供を殺人に加担させてしまう

なんと浅はかなんだろう。

家族への愛ゆえだと物語では語られていますが、あまりに自分勝手すぎて呆れてしまいました。

恭平に同情はしても、この家族の愛には同情できない

これが感情移入しにくい理由なのかなと感じます。

ただ、愛するがゆえに浅はかな行動をしてしまう、これも人間の愚かさなのかもしれません。

私としては、愛する子供のために自分を犠牲にすることはあっても、他人を不幸にしてしまうことは愛する子供のためにもならないと感じましたが。

恭平のその後は?

素直で明るい恭平。

知らず知らずに大人の身勝手に巻き込まれて、人生をねじ曲げられてしまいました。

大きくなるにつれて、自分がしたことが殺人につながっていたとわかるでしょう。

恭平が罪の意識にさいなまれることは明白です。

しかし湯川は最後の駅の待合室で、恭平に言葉を残します。

「僕も一緒に考える」

「一緒に悩み続ける」

「忘れるな、君は一人じゃない」

湯川は、恭平が大きな秘密を一人で抱えることのないように、一緒に考えると言い残すのです。

これは、恭平の今後の人生の救いとなるでしょう。

人は大きな悩みにぶつかったとき、たとえ答えは自分で出すことになっても、いつでも相談できる誰かがそばにいると感じていることが大切なのかもしれません。

この夏休みに、恭平は不幸なことに巻き込まれました。

しかし理科に全く興味のなかった恭平は、理科の面白さに目覚めます。

帰りの電車では実験の経験を頭の中で反芻し、湯川にもらった実験の記録を真剣に読んでいます。

恭平は今後、湯川と同じ大学を目指すのではないでしょうか。

湯川と出会い、湯川へ抱いた尊敬と憧れは、恭平の人生に大きな影響をもたらしたことは間違いないと思います。

大きな罪を背負った恭平ですが、湯川との出会いによって少し明るい未来が見えた気がします。

湯川の講義を熱心に受けている大学生の恭平の未来が私には見えました。

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「真夏の方程式」作品概要

原作は東野圭吾氏の「真夏の方程式」。

撮影場所は静岡県の伊豆の海。

第37回日本アカデミー賞では話題賞を受賞。

キャスト

湯川学福山雅治
岸谷美砂吉高由里子
川畑成実
川畑節子風吹ジュン
川畑重治前田吟
柄崎恭平山崎光
草薙俊平北村一輝

スタッフ

原作東野圭吾
監督西谷弘
脚本福田靖
音楽菅野祐悟・福山雅治

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