2022年に公開された映画
「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」
この映画は、お仕事×タイムループというなかなか珍しい組み合わせ。
命に関わるとかそんな重い話ではないけれど、テンポ良く進む展開に楽しく見ることができました。
序盤は楽しく、後半はなんだか人生を考えさせてくれたり、じわっとくるものがあったり。
82分という短い映画ですが、見応えのある、何度も見返したくなる作品です。
作品の中に散りばめられたこだわり、ラストシーンを考察してみました。
「MONDAYS」あらすじ
月曜日の朝。
プレゼン資料の準備で忙しい中、主人公が後輩2人組から
「僕たち、同じ一週間を繰り返しています!」
と報告を受けるシーンからこの物語は始まります。
小さなオフィスで起きた、”社員全員タイムループ”。
ひとり、またひとりと、タイムループの中に閉じ込められているのを確信していきます。
「もう仕事なんて放り出してしまいたい」
「新しいスキルを身につける、いい機会かも?」
「仕事をうまくいくまで繰り返して、最高の状態で転職してやる!」
それぞれの様々な思惑が交錯しながら、繰り返される地獄の一週間。
しかし、タイムループ脱出の鍵を握る肝心の部長は、いつまで経っても気づいてくれなくて……。
引用:「MONDAYS」公式HP
「MONDAYS」予告編
「MONDAYS」感想(ネタバレあり)

同じ日を、同じ場所で繰り返すという、下手すると飽きてしまうような設定。
でもずっと最後まで楽しかった。
台詞のリズム感や、テンポ良く進む時間の流れなど、工夫されていたように感じます。
特に
「きっもっと事務所の木崎ですぅ~!」
という台詞。
「こんな風に言う人いる~!」というあるある感や、リズム感がとても印象的でした。
見終わった後も、この言い方、頭に残りました。
こんな風に取引先から無茶ぶりの電話が都度かかってきたら、そのうち蕁麻疹とか出そう。
テンポいい話の流れも見やすいポイントですが、ストーリーもよくできてます。
前半の、タイムループを抜け出すために、あの手この手で徐々に周りを気づかせていく過程も好きですが。
私は後半の漫画の内容にそったシーンも好きでした。
漫画の内容が素敵。
この部長作の漫画、全部ちゃんと読みたい!って思いましたもん。
エンタメ性が強い映画かと思ったら、意外とじーんともさせてくれて、とても好きな映画になりました。
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「MONDAYS」細かいこだわり・小ネタ(ネタバレあり)
オフィスからほとんど出ることのない舞台。
でもその中で、細か~い作り込みや繰り返しごとのマイナーチェンジが隠れているのです!
パソコンの中身

無茶ぶりと言えるほどのたくさんの企画資料を要求される吉川さん。
映画ではちらっとしか映らないにもかかわらず、この企画資料も実際に細かく考えられていたようです。
キャッチフレーズも、サラッとしか映らないのに40個以上の案を実際に考えたのだとか。
個人的に「MAKE味~噌~HAPPY」というフレーズがちらっと映ったとき、うまいなぁと笑ってしまいました。
もう一度見直して、他のフレーズも詳しく見てみたいです。
それから、森山さんのパソコンにたまに映る「ぽやぽやクエスト」のイラスト。
こちらもタイムループに気づいてからは、クオリティが上がっています。
細かいこだわりが、すごい!
服装
タイムループに気づいてからの吉川さん、服装が変化しています。
タイムループに気づいていない時は、1週間の服装のルーティンが変わっていません。
しかし、タイムループに気づいて仕事も余裕を持って進められるようになってからは、服装もなんだか明るく。
後半のほうが、黄色や白など、ちょっと明るめの服装が多い気がしました。
仕事もループを繰り返していくうちに効率が上がり、服装に気を遣う余裕もできたという表現なのでしょう。
漫画の上達

映画後半、部長のラフ画を仕上げていく社員たちですが、何度もループしていくうちに、なぞりが凄くキレイになっていくんです。
初めは黒線がガタガタしていたり、墨がかすんでいたり。
でも最後のループの頃には仕上がりがとてもキレイになっていました。
同じ漫画の仕上げを、下手なバージョンから上手なバージョンに変化をつけて撮影していたんですね。
「MONDAYS」ラストはどういうこと?(ネタバレあり)

エンドロールのあと、パソコンに向かう吉川さん。
「え?」
と声を出し、社員たちが吉川さんのパソコンの前に集まってきます。
社内には遠藤さんだけいません。
どうやら遠藤さんはスペインのロンダにいて、吉川さんに写真を送ってきたようですね。
遠藤さんはタイムループに気づいた最初の方、スペインに運命の人探しに行き、出会ったようで。
タイムループから抜け出し、ようやくその運命の人に会いに行けたのです。
そして、吉川さんのスマホがなります。
そのスマホを吉川さんが見て、カコカコと返信している音がなって映画が終わります。
この返信をしている相手は、映画の中では明らかにされていません。
相手は誰なの?と少し話題になったようです。
きっと返信をしている相手は、タイムループを繰り返している間、距離を置こうと言われていた彼だと思います。
タイムループから抜けた後に彼からの連絡が来ているということは、別れずにすんだということを表しているのでしょう。
まさに部長の漫画のラストにもあったように、出世よりも人とのつながりや愛を優先したということにつながっているわけです。
そして、仕事にだけ生きている感じを脱したのか、吉川さんがとてもキレイになっているように見えました。
なかなかよいラストでした。
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「MONDAYS」イチ押しの台詞

おまけですが、最後にとても印象に残った好きな台詞をご紹介。
映画後半で、吉川さんが部長に
「自分の夢と、みんなのこと、どっちが大事ですか」
と聞くシーンがあります。
そこで部長は
「自分の夢。って言う人になりたかったなぁ。けど、自分一人でできる事ってそんなにないんじゃないかなぁ」
こう言うんです。
この台詞、この映画の中で1番心に残りました。
ここで吉川さんの表情が明るくなります。
こんな風に考えているこの上司のもとで働き続けたい、と思ったのでしょう。
吉川さんが転職したかった木本事務所のトップは、
「出世したいんだったら自分のことだけ考えた方がいいよ。結局頼りになるのは自分しかないんだから」
こんな風に言っていたんです。
もちろん、結局頼りになるのは自分自身だけ、こう考えることで成功する人もいます。
これで頑張れる人もきっといるでしょう。
ただ、吉川さんがこの先ついて行きたいと思ったのは、部長だったのです。
「自分一人でできることってそんなにないんじゃないかなぁ」
これは、仕事のことだけではなく、人生にも置き換えられるんじゃないかなと思います。
1人だけで立って生きていくには、人生あまりに辛くて大変なことがたくさんあります。
人は、支えて、支えられて、生きていくもの。
ちょっと金八先生のようですが。
エンタメ性強めだろうと油断して見ていた映画に、人生の大切なことまで感じさせられるとは。
見応えじゅうぶん。
「MONDAYS」作品概要
CHOCOLATE lnc.所属の竹林亮氏による劇場映画2作目。
「MONDAYS」キャスト
吉川朱海 | 円井わん |
永久茂 | マキタスポーツ |
遠藤拓人 | 長村航希 |
村田賢 | 三河悠冴 |
森山宗太郎 | 八木光太郎 |
平一郎 | 髙野春樹 |
神田川聖子 | 島田桃依 |
崎野雄大 | 池田良 |
木本貴子 | しゅはまはるみ |
「MONDAYS」スタッフ
監督 | 竹林亮 |
脚本 | 夏生さえり |
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