映画「沈黙のパレード」はひどい?佐織は本当にクズ?ラストどういうこと?(ネタバレあり)感想・考察

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2022年に公開された、福山雅治主演の劇場版ガリレオシリーズ

「沈黙のパレード」

「容疑者xの献身」「真夏の方程式」に続く、シリーズ3作目です。

この作品は、前作から9年ぶりの劇場版ということで、とても注目を集めました。

そんな中、「ひどい」「佐織がクズだ」といったようなマイナスな意見も目立ったようです。

そこで、その「ひどい」と言われる理由、「佐織がクズ」なのは本当かなど深掘りしてみたいと思います。

そして、ラストシーンのわかりにくさなどを整理していきたいと思います。

「沈黙のパレード」あらすじ

天才物理学者・湯川学(福山雅治)の元に、警視庁捜査一課の刑事・内海薫(柴咲コウ)が相談に訪れる。行方不明になっていた女子学生が、数年後に遺体となって発見された。内海によると容疑者は、湯川の親友でもある先輩刑事・草薙俊平(北村一輝)がかつて担当した少女殺害事件で、完全黙秘をつらぬき無罪となった男・蓮沼寛一(村上淳)。蓮沼は今回も同様に完全黙秘を遂行し、証拠不十分で釈放され、女子学生の住んでいた町に戻ってきた。町全体を覆う憎悪の空気…。そして、夏祭りのパレード当日、事件が起こる。蓮沼が殺された。犯人は誰か。女子学生を愛していた、家族、仲間、恋人…全員に動機があると同時に、全員にアリバイがあった。そして、全員が沈黙する。湯川、内海、草薙にまたもふりかかる超難問…!果たして、湯川は<沈黙>に隠された<真実>を解き明かせるのか…!?

引用:「沈黙のパレード」公式HP

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「沈黙のパレード」がひどいと言われる理由って?

「沈黙のパレード」がひどいと言われる理由は、視聴者によっていろいろな意見があるようです。

代表的なものをあげてみると、

トリックがいまいち

湯川が湯川らしくない

登場人物が多すぎて感情移入できない

などなど。

でもね、私はこれに対してちょっともの申したい。

前2作を見た私にとっては、「トリックがいまいち」と「湯川が湯川らしくない」に関して、そこが低評価の理由?と疑問を持ってしまったわけです。

まず「トリックがいまいち」っていうのは、そこが作品の主軸ではないと私は思っているので気になりませんでした。

そもそも映画のガリレオシリーズって、トリックであっと言わせたいわけじゃないんじゃないかなぁと。

人間ドラマのほうを重視していると私は思っていて。

だからあまりトリックが凝られてなくてもいいかなって思っています。

登場人物がどんな感情でどのように動いたかに注目したほうが私は面白いと思います。

トリックの謎を解きたい思いで見た方は、確かに「ひどい」と思ってしまうのかなぁ。

「湯川が湯川らしくない」については、物理にしか興味のないはずの湯川がなぜこんなに人間味あるのか納得いかないというような意見のようです。

でもこれは、前作の湯川からつながってこうなっているのです。

「真夏の方程式」「容疑者xの献身」からの今回の湯川なのです。

今回の作品で、湯川の子供に対する感情が変わっていることがわかる場面があります。

子供たちとシャボン玉で戯れている湯川に、内海が声をかけたシーンです。

内海「子供は嫌いじゃなかったの?」

湯川「苦手なだけだ。」

これは「真夏の方程式」からのつながりで言われた台詞です。

「真夏の方程式」の序盤では、「(子供は)苦手じゃない、嫌いなんだ」と言っています。

子供が嫌いだった湯川は「真夏の方程式」の事件を経て、嫌いから苦手に変わっているのです。

前作の小学5年生の恭平との関わりで、湯川の子供に対する考え方が変わったということがわかります。

子供は嫌いだと拒絶しているわけではなく、苦手だという認識だと。

ちょっと人間味が出てきているということですね。

そして湯川のこの台詞も大事。

「あのときと同じ事を僕も繰り返したくない」

事件が解決してきたあたりで湯川が言った台詞です。

この言葉は「容疑者xの献身」からつながっています。

「容疑者xの献身」の事件は、真実を明らかにすることで誰も幸せにならなかったという結末でした。

ここで、真実を明らかにすることが必ずしも正しいとは限らないと湯川が学んでいるわけです。

真実の中にも、人の感情が複雑にからんでいると湯川は身をもって感じました。

この2つの事件を経て、今回湯川がちょっと人間味のある人物になっている設定は、私からしてみればあまり違和感はなかったです。

むしろ、その2作品からの湯川の変化に心を打たれました。

エンドロールで過去2作のシーンを流したのも、そんな意味があるんじゃないかなと感じています。

そして「登場人物が多すぎて感情移入できない」ですが、これは確かに同調できる意見かも。

映画の尺の関係なのか、登場人物ひとりひとりと佐織とのつながりが詳しく描かれていなかったように思います。

だからなのか、罪を犯すほど佐織への愛情がそこまであるのかっていう疑問が出てしまいました。

原作はもう少し背景や登場人物の心情などが描かれているのかもしれません。

「沈黙のパレード」ラストのわかりにくさを解説

この作品では、ラスト新倉直紀が沈黙するのと真実を話すのとではどう変わるのか?という疑問が多く見られました。

私も1回目に観たときは、事件解明が二重三重にもなっていたので頭を整理するのに時間が少しかかりました。

そこで、ラストをわかりやすく整理したいと思います。

殺したことには変わりないのに、なぜ自白するか黙秘するかをあんなに重要に描かれているのかって話です。

新倉直紀の取り調べの前に、草薙は留美を訪ねます。

留美はきっと、バレッタを警察に渡しただけで、警察には真実を話していないのでしょう。

(留美が真実を話せば、新倉直紀は傷害致死罪ではなく殺人罪になってしまうからです。留美は直紀を軽い罪にさせたいはずです。)

そこから新倉直紀のラストの取り調べが始まります。

新倉直紀が黙秘・新島直紀の罪は傷害致死罪
・留美は罪に問われないが、罪を償えず苦しみながら生活していく。
・佐織の死の真相を警察は調べられない。
新倉直紀が真実を話す・新島直紀は殺人罪
・留美は傷害罪に問われるが、罪を償える。
・佐織の死の真相を警察は調べる。

もし留美が佐織を殺したかもしれないという経緯を話せば、新倉直紀が供述していた、「蓮沼を自白させるために脅迫した」ということはおかしい話になります。

むしろ直紀は蓮沼に自白させたくない訳です。

留美の罪を隠したくて、初めから殺すために部屋に液体窒素を入れたことなります。

そうなれば、傷害致死罪ではなく、殺人罪。

傷害致死罪と殺人罪では、罪の重さは大きく違うそうです。

黙っていれば新倉直紀は自分の罪が軽いままでいられます。

しかし留美は刑に処されない分、罪悪感の苦しみを生涯味わわないといけません。

一方、真実を話せば、新倉直紀は殺人罪となり刑は重くなります。

そして留美は傷害致死罪になるかもしれず、逮捕されます。

しかし留美は罪を償うことができます。

黙っていれば、直紀は軽い罪で留美は犯罪者にならないけれど、留美が苦しむ。

真実を話せば、直紀は重い罪になり、留美は犯罪者になるけれど、留美は罪を償うことができる。

そしてもうひとつ、真実を話せば、佐織の死因を特定するために警察が動き、もしかしたら留美の罪は軽くなるかもしれない。(蓮沼が殺したかもしれない)

この狭間で新倉直紀は葛藤していたんですね。

お互いがお互いのことを思い、結局直紀は真実を話すことを選んだわけです。

湯川が真実を無理矢理明らかにさせたわけではなく、本人たちの意思に任せたということですね。

まさに、「容疑者xの献身」からつながっているわけです。

新倉が真実を話すか話さないかをとても大事に描かれていたのは、こんな背景もあったということです。

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「沈黙のパレード」佐織は本当にクズ?

ネットで「沈黙のパレード」を検索すると、「佐織 クズ」と候補に出てきます。

そして、多くの人が「佐織はクズだ」という感想を記しています。

でも私は、そこまでクズかなぁ、確かに良くないところはあったけど…とあまり同調できませんでした。

私一個人の感想なので押しつけるつもりはないのですが、正直な感想をつらつらと語りたいと思います。

私は原作を読んでないのですが、どうやら映画よりも原作のほうが佐織はひどいようで。

もしかしたら、原作と映画の両方の佐織を見てのクズ発言なのかな?

ともかく、ここからは映画だけ観た私の感想です。

佐織は歌がものすごく上手で、プロになりたいとレッスンを受け始めます。

いよいよプロになることも決定しました。

しかし、彼氏との赤ちゃんができてしまい、歌手にならず彼氏と結婚したいという気持ちになります。

それを留美に相談すると留美は

ダメよ!そんなの許されるわけがないでしょう?

新倉先生の夢はどうなるの?!

と感情的になります。

私はものすごく違和感でした。

そりゃあ高校生で子供ができてしまうようなことになるのは、無責任だし、よくないです。

それに、もうプロになると決定している時点で急に辞めると言い出すのも無責任です。

でも佐織はまだ高校生です。

頭ごなしにあんな風に言われてしまったら、どうだろう。

まだ高校生の佐織は、他人の夢まで背負わされたというプレッシャー、子供ができてしまったという不安、心の中はぐちゃぐちゃだったはずです。

もちろん、だからといって他人を傷つけるような言葉を言ってはいけないとは思います。

でも、この2人を冷静に見たときに、落ち着かなくてはいけないのは大人の方なんじゃないかなと思ったのです。

落ち着いて、話を聞いてあげなくてはいけないのは、留美の方だったのではないでしょうか。

嫉妬していると図星をつかれて突き飛ばすって…

私には、反抗期で暴言を吐いてしまった娘を、感情的になって殴った親のように見えました。

誤解して欲しくないのですが、佐織のほうが正しくて、留美が悪いって言っているのではないです。

ただ、佐織がクズって言われるほどかなぁと感じたという話です。

歌手デビューを諦めさせないためにも、子供のこともどうするか考えるにしても、留美がもっと冷静に一緒に考えてあげる道があったんじゃないかなと思った次第です。

それで突き飛ばされて気絶させられるって、あまりに佐織に同情してしまうというか。

もし佐織の遺族だったら、ちょっと留美に対して思うところはあるのかなぁと思いました。

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「沈黙のパレード」作品概要

「容疑者xの献身」「真夏の方程式」に続く、劇場版ガリレオシリーズ3作目。

原作は2018年に刊行された東野圭吾氏の小説「沈黙のパレード」。

前作「真夏の方程式」からは9年ぶりの劇場版。

内海薫役の柴咲コウは、「容疑者xの献身」から14年ぶりの劇場版への出演でした。

第47回報知映画賞では、福山雅治さんが主演男優賞を受賞。

第65回ブルーリボン賞では、飯尾和樹さんが助演男優賞を受賞しています。

「沈黙のパレード」キャスト

湯川学福山雅治
内海薫柴咲コウ
草薙俊平北村一輝
並木祐太郎飯尾和樹
並木真智子戸田菜穂
戸島修作田口浩正
増村栄治酒向芳
高垣智也岡山天音
並木佐織川床明日香
並木夏美出口夏希
蓮沼寛一村上淳
宮沢麻耶吉田羊
新倉留美檀れい
新倉直紀椎名桔平

「沈黙のパレード」スタッフ

原作東野圭吾
監督西谷弘
脚本福田靖

本記事の情報は、2025年9月時点のものです。最新の配信情報はU-NEXT公式ホームページでご確認ください。

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