2022年11月に公開された映画、原作は湊かなえさんの小説である
「母性」
戸田恵梨香さんの母役の演技が狂気を帯びていて圧巻!
怖いというよりは、考えさせられる方が強かったかな。
観終わった後は、頭の中でいろんなシーンを振り返って考えてしまい無言に。
観た人それぞれ一人一人の感想が違いそうな作品です。
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【母性】あらすじ
ルミ子は母が大好きだった。
子供の頃から母は優しくて、ルミ子に無償の愛を注いでくれた。
母と違う意見なんて持ちたくなかった。
大人になったルミ子は、絵画教室で出会った男性・田所哲史と結婚する。
初めは哲史の描く画が嫌いだったが、母が好きだと言うので好きになるようにした。
結婚も母のすすめで決めた。
そしてルミ子と哲史の間に、清佳(さやか)が生まれる。
ルミ子は母がしてくれたように清佳を愛そうとしていたが、愛せなかった。
母が喜んでくれるから、優しい子に育てようと必死だった。
清佳は優しい子に育ったが、ルミ子の愛を感じられないまま成長していく。
そんなある日、台風による災害で家に木が倒れ、ルミ子の母親と清佳がタンスの下敷きになってしまう。
ルミ子はこのとき、娘を見捨ててでも母親を助けたかった。
しかし母親に「娘を助けろ」と言われ娘を助けたため、母親は亡くなってしまった。
清佳を助けたために、母親が死んでしまった。
ルミ子と清佳の今後はどうなっていくのか…
【母性】予告編
【母性】おすすめ度
40代主婦の独断と偏見によるおすすめ度がコチラ↓
- 女性に特に観てほしい★★★★☆
- 考えさせられる★★★★☆
- 心理的に苦しめ★★★☆☆
- 俳優陣の演技が迫力★★★★☆
女性が誰もが持っていると思われがちな「母性」。
でも、持っている人も持っていない人もいるのかもしれない。
そんな疑問を投げかけてきた作品。
予告では「事故か自殺か殺人か」というサスペンス風のテロップが流れますが、大幅に作品の主軸と違っているように感じました。
サスペンスではなく、「母性」というものをむしろじっくり考えさせられてしまう作品でした。
戸田恵梨香さんの演技が特に圧巻です!
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【母性】作品概要
2012年に刊行された湊かなえさんの小説が原作です。
湊かなえさんと言えば「告白」でも有名ですね。
湊かなえさんは「これが書けたら作家を辞めてもいい」と思ったほど思い入れの強い作品だったそうです。
キャスト
田所ルミ子 | 戸田恵梨香 |
田所清佳 | 永野芽郁 |
田所哲史 | 三浦誠己 |
露木華恵 | 大地真央 |
ルミ子の義母 | 高畑淳子 |
とにかく戸田恵梨香さんの演技が印象に残りました。
娘に笑いかけていてもその瞳には「愛情」を感じられず、娘を愛せない母親を演じきっていたなと感じます。
一方で母親に愛されたいと必死な清佳を演じる永野芽郁さんは、ずっと捨てられた子犬のような目をしていました。
この愛情のすれ違いがとても切なかったです。
スタッフ
監督 | 廣木隆一 |
原作 | 湊かなえ「母性」 |
脚本 | 堀泉杏 |
主題歌 | JUJU「花」 |
湊かなえさんは映画化するにあたって次のようにコメントしていました。
湊かなえ「女性は子どもを産めば必ずしも母性が芽生えるわけではない、といったことなど、「母性」について年齢や性別を問わず多くの方が考えてくださる作品になってほしいと思いました。」
引用:公式HP湊かなえインタビュー2020年10月
【母性】感想
この作品では、「母性」は必ず誰しもに生まれる感情ではないとメッセージを送っています。
「じゃあ自分に母性はあるのか。」
この映画を観た母親の立場の人は、この問いを自分に投げかけるでしょう。
私は、母性と断言していいのかわかりませんが、自分の子供を愛しているという実感があります。
子供が愛おしくて、この子たちは私が守らなくてはという感情があります。
これが母性というなら、私には母性があるのかもしれません。
なのでこの映画「母性」を観てあまり共感できなかったのですが、考えさせられているのです。
確かに実際「母性」が生まれない人もいるのだろう。
でもそれを悪いことだと簡単に言ってしまうのは違うとも思います。
そして同時に、母性がないまま子供を育てていくのはとても苦しいものではないのだろうかとも思うのです。
子育ては本当に大変です。
子供は生まれたときから全身全霊で母親に向き合ってくるからです。
それを「母性」という愛情なしに育て上げるのはとても大変なものなのではないかと想像してしまいます。
そして大好きな母親から愛情を得られなかった子供も、とても苦しいでしょう。
このすれ違いは想像するととても苦しいです。
永野芽郁さん演じる清佳の子犬のような悲しそうな目が思い出されて辛くなります。
ルミ子は自分の母親に愛情いっぱいに育てられたのに、自分の子供には愛情をそそげない。
なぜなんだろう。
作品によると、女の人は「母親」と「娘」に分けられるからだといいます。
ルミ子はずっと娘でいたいタイプの人間だったということです。
ずっと擁護されていたい、守られていたいと思う種類の人間だと。
母性がない人間は子供を産むなと言ったらそれまでです。
そこに解決策はないように思います。
もちろん自ら子供を産まない選択肢もあります。
でも生まれたなら、その子供を守っていく義務が母親だけにあるわけではないとも思いました。
ルミ子で言うなら、浮気していた旦那、義母、義姉にも支えていく義務があったのではと。
そして根源をたどるならば、もしかしたらルミ子の母親にも何かルミ子に残しておかなければならない要素があったのではとも思いました。
それは「精神的に子供を自立させる」ということだったのかもしれません。
親として、この難しい課題はとても耳が痛いことなのですが…
女の人は誰しも誰かの娘であるので、この作品を観て感じる感情はそれぞれあるのではと思い、興味深い作品でした。
【母性】印象に残ったシーンを下手なイラストで
「あんたの手は生暖かくてベタベタして気持ち悪いのよ」
なんてむごい台詞…
母性云々は置いといて、人として言っていい台詞なのか疑問です。
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