2012年9月に公開された、堺雅人×香川照之×広末涼子出演の映画
「鍵泥棒のメソッド」
伏線が散りばめられた、何度も観たい作品。
人生で大事なことも教えてくれます。
香川照之さんの演技もすごかった。
そういう人にしか見えない。
見応えのある作品、ぜひ観てほしいです。
「鍵泥棒のメソッド」あらすじ
お金はなく、古びたアパートに住む、だらしないを絵に描いたような売れない役者、桜井(堺雅人)。
一方で、見事な仕事をすると評判な凄腕の殺し屋、山崎(香川照之)。
2人は偶然、銭湯で居合わせる。
桜井は脱衣所で、山崎の羽振りの良さそうな身なりと財布をチラ見する。
風呂場に入った山崎は、運悪く足を滑らせ、頭を強打。
気を失ってしまう。
桜井は現場のゴタゴタに紛れて出来心から、山崎のロッカーの鍵を自分の鍵とすり替えてしまった。
病院に運ばれた山崎は、記憶喪失に。
自分のことを何も覚えていなかった。
2人はお互いの環境を交換する形になってしまったのだ。
香苗(広末涼子)は、真面目な性格の雑誌の編集者。
父の見舞いで行った病院で、山崎と出会う。
結婚相手を探していた香苗は、これも1つの出会いと感じ、山崎に関わっていく。
真面目で努力家の山崎に惹かれていく香苗。
一方で桜井は、山崎の殺し屋の仕事を請け負ってしまい大ピンチに。
3人の運命が交錯する中、山崎の記憶が戻る時が訪れるーーーーー
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「鍵泥棒のメソッド」感想・考察(ネタバレあり)
見応えのある作品でした。
伏線が散りばめられているのも楽しいです。
笑いどころもたくさんあります。
そして、けっこう奥が深い。
人生で大事なことを改めて教えてもらった気がします。
ここからはネタバレを含みますので、作品を見てない方は見てから読むことをおすすめします!
伏線回収の心地よさ
「これはこういうことだったのね!」
そんな伏線が散りばめられているこの作品。
1つずつ取り上げてみましょう。
結婚相手の条件・アルバイトの条件:健康で努力家であればOK
香苗の結婚相手、アルバイトの条件が「健康で努力家」。
これは、映画の序盤で香苗が出す条件です。
この条件は、記憶喪失になった山崎がぴったりと当てはまります。
山崎が香苗に病院から家まで送ってもらった時、山崎が言う台詞がコチラ。
「体の方は心配ないと言われたので。いたって健康だそうです」
「努力してみます」
この台詞は、映画序盤の「条件」にかかっているのでしょう。
のちに、職がない山崎はアルバイトに採用され、香苗とハッピーエンドになります。
殺し屋かと思いきや・・
映画のはじめの方で、山崎は返り血を浴びてターゲットを惨殺したかのように映されます。
それを影からこっそり見ていた依頼人の子分。
観客は、まさかこの殺人が依頼人に見せるための演出だったとは想像もつきません。
そう、山崎は殺し屋ではなく、便利屋だったのです。
記憶喪失になったからって、殺し屋がなんでこんなに穏やかで優しいんだろうと、ずっと疑問をもって見ていたのですが。
それが、実は便利屋だとわかった時の「そういうことだったのね!」の気持ちよさ、脱帽。
便利屋の仕事中のクラシック音楽
山崎は冒頭の岩城社長を殺すシーンで、クラシック音楽を聴いていました。
香苗のお父さんが亡くなった後、香苗はお父さんがよく聞いていたレコードを山崎に聴かせます。
その時に、山崎の記憶が戻るのです。
冒頭のシーンの音楽から伏線を張っていたんですね。
塩をなめる香苗
山崎の部屋(正確には桜井の部屋)に初めて入った香苗。
何か手がかりはないかと山崎と一緒に探す中、香苗はテーブルの上にあった食塩をなめます。
「え、なんで塩なめた?」と疑問に感じましたが、香苗が変わっているキャラクターだったので、いったんとりあえずスルーしました。
実は後半で、香苗が高級を追求する雑誌で今特集しているのが、塩だったことがわかります。
マッチングアプリの「アリ・ナシ」を決めている会社のシーンでも、ゆで卵に塩をかけて比べている様子が映ります。
目立たないところにも伏線をはっているところ、さすがです。
人生への教訓
この映画で、伏線もとても楽しめたのですが、楽しいだけじゃなかったのがスゴいところ。
人生に大事なことも教えてくれます。
だらしない桜井と、努力家の山崎。
山崎の記憶喪失をきっかけに、お互いの環境を交換するはめになります。
桜井は、山崎の環境を手に入れます。
お金がたくさんあって、高級マンションでの生活。
しかし、部屋はすぐに散らかり、桜井は人のお金を平気で使います。
行き当たりばったりで、計画性はゼロ。
一方で、お金が全くなくボロボロのアパートに住むことになった山崎。
記憶もないし、絶望的です。
しかし、山崎はノートに現状を書き出し、何をすべきかを考え始めます。
汚く散らかった部屋もすぐに整えます。
演劇の仕事も、とりあえずやってみようと勉強を始めます。
環境は同じでも、個人の生き方によって、全く別の人生が見えてくるのです。
こんな極端な話は現実にはないけれど、どんな環境でもその人次第なんだと考えさせられます。
努力していない自分を、今の環境のせいにしてないかとカツを入れられた気持ちに。
同時に、現状に満足していなくても、自分の考え方・行動次第でどうにでも変えることができると希望も持たせてくれました。
コメディ要素もふんだんにありつつ、考えさせられる。
見応えありました!
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「鍵泥棒のメソッド」作品概要
「鍵泥棒のメソッド」は数々の賞を受賞しています。
第36回日本アカデミー賞 | 最優秀脚本賞:内田けんじ 優秀主演男優賞:堺雅人 優秀助演男優賞:香川照之 優秀助演女優賞:広末涼子 |
第55回ブルーリボン賞 | 監督賞:内田けんじ 助演女優賞:広末涼子 |
第37回報知映画賞 | 作品賞 |
第15回上海国際映画祭 | 最優秀脚本賞:内田けんじ |
第34回ヨコハマ映画祭 | 脚本賞:内田けんじ |
第86回キネマ旬報ベスト・テン | 日本映画脚本賞:内田けんじ 読者選出作品賞 読者選出監督賞:内田けんじ |
「鍵泥棒のメソッド」キャスト
桜井武史 | 堺雅人 |
山崎信一郎・コンドウ | 香川照之 |
水嶋香苗 | 広末涼子 |
工藤純一 | 荒川良々 |
井上綾子 | 森口瑤子 |
「鍵泥棒のメソッド」スタッフ
脚本・監督 | 内田けんじ |
主題歌 | 「点描のしくみ」吉井和哉 |
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